Dr白鳥の頭痛相談室 その21(2024年3月11日)
CGRP製剤 当院での使用方針 改訂版
片頭痛の予防注射薬、CGRP関連製剤(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)が本邦で発売されてから、3年近くがたちました。
当院では2024年2月時点で85名もの患者さんに使っていただいています。これは、静岡県西部では圧倒的な実績です。
さらに、その間、おもに静岡県西部地区の医師を対象とした講演会において、「全国区の有名講師」をお招きした場合は、ほぼ私が司会を務めさせていただきました。講演後の質疑応答で、的確な質問ができる司会、として重宝していただいています。これは、取りも直さず、私の頭痛治療に対する理解が広く深い、と評価されているからからです。
さて、それらの経験をもとに、この3年間でCGRP関連製剤・使用方針をリニューアルした結果を、改めてご紹介します。
新たな対象患者さんとして
1、片頭痛と診断されている
2、1か月に頭痛が15日以上あり、そのうち8日は片頭痛の性質が明らか(慢性片頭痛)
3、1か月に頭痛が4日以上ある方(反復性片頭痛)
4、従来の片頭痛予防薬が無効、または副作用などで使えない
5、妊娠、授乳中は、他に手段がないか慎重に検討
6、15歳以上
7、薬物乱用(薬物使用過多による)頭痛の方
大きく変わった点は、#3と#7です。
変更の根拠として、この3年間の間に、片頭痛の予防薬としてCGRP製剤がファーストチョイス(第一選択薬)として確立したこと、薬物乱用頭痛でも効果が得られる実績が積み重なったこと、が理由です。
1か月に4日以上の反復性片頭痛でも使用を検討するようになったのは、3日以下だと頭痛がそう簡単には増えないが、4日以上だと、ちょっとしたきっかけで慢性片頭痛になってしまうというデータが蓄積されてきたからです。
したがって、CGRP製剤の使用目標も「片頭痛日数が月3日以下」にすることと、しています。
慢性片頭痛と反復性片頭痛、という言葉は聞きなれないと思いますが、おおざっぱに言って、頭痛が多くて、しかもはっきりした片頭痛がない日でも頭がなんとなく重い人は慢性片頭痛、片頭痛の日数が少なくて、頭痛のある日以外は、おおむね頭がすっきりしている人は反復性片頭痛、と理解してください。
また、若年者に対する使用経験も増えてきたことから、中学生以上で検討することにしています。