白鳥内科医院

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鵠通信

その他のお悩み

医院の概要

〒430-0814
静岡県浜松市恩地町192
電話:053-427-0007
Fax:053-427-0005

主な診療内容
頭痛外来・小児頭痛
(6歳以上の小児を含む)
認知症(物忘れ)外来
パーキンソン病とその類縁疾患

診療時間
○月・火・金
9:00〜11:00
15:30〜17:30
○土・日・祝
9:00〜11:00

休診日
○水・木休診
 (水・木は、祝日でも休診)
計画休診は お知らせ をご覧ください。おおむね1〜3か月先まで、表示してあります。

待ち時間を短くしたい方には、午後4時半から5時(月火金)の受診をお勧めします。
この場合は、平均的な待ち時間は30分程度のことが多いようです。計画休診は、 お知らせ をご確認ください。

当院の総合サイトは
脳検査・治療センター
白鳥内科医院

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鵠通信 第137号

旅する脳神経内科医 Dr白鳥の視察旅行
〜フルムーンパスを利用してみた〜

 まずは繰り返し。
「大声を出す可能性があること、つまり会食、カラオケ、コーラス、エアロビなどエクササイズはダメ」。
特に、大声をあげる人が多い飲酒を伴う宴会や接待は禁止です。このご時世にそんなことをしていたら、まさに犯罪行為です。政治家を見習ってはいけません。

 発熱や風邪症状、臭・味覚異常、倦怠感のある方は、必ず電話をして受診日時を相談してください。
「毎月当院を受診されている方」に限り、新型コロナ疑いの方の診察を受付けています。不特定の方は対象としていません。ご了承下さい。
これは厚労省、静岡県への届け出に伴い、指定された条件です。当院が勝手に決めたことではありません。

 頭痛の患者さんはいつものペースで新規の方もいらしています。不登校の方も継続的に初診でいらっしゃいます。最近は「親抜きで日帰り旅に出てたくさん失敗すること」を推奨しています。
 コロナの影響で認知症の方の初診は減っているかな。本当は関係ありませんけどね。認知症の方は、お風呂拒否、ということが偶にあるのですが、「足湯ができて、美容院等で洗髪できれば可」とご家族にお伝えするようにしました。ここまでは大概OKの方がほとんどなので。

 さて、「どこでもドア」という、JR西日本の乗り放題チケットが3か月限定で発売されたのはご存じですか?自分がその存在に気が付いたのは、東北旅行が3回連続したので、西日本に足を向けようと調べたのが最初。九州は昨年ラグビーWCでそれなりに旅行したし、瀬戸内海は5月にしまなみ海道をサイクリングで往復した。山陰は鳥取島根も行ってきた。そこで、岡山より西の山陽道、四国を旅しようと思い立ったわけ。コロナもあまり出ていない地域だし。
 教科書でおなじみの秋吉台は、未訪問だ。沖永良部でケイビング(洞窟探検)は楽しかったから、秋吉台でもできれば比較ができる。大塚国際美術館は、陶板画だから、偽物ではあるけれど、実際に訪れるのが困難な古代遺跡など「環境展示」は魅力だ。ついでに鳴門の渦も見られそうだ。父親が丸亀の出身だから、金比羅山はお参りしたい。このあたりを軸にまずはネット検索。キーワードは、自然、美術。
 調べだすと、大塚国際は徳島県鳴門にあるのだけど、あまりいいホテルがない。多分、大阪から車だと日帰りで来られるので、宿泊ニーズが低いのだろう。その中でアオアヲリゾート押ししている大阪の旅行代理店SPCを発見。GO TO、徳島県、ホテル独自のクーポンを合わせると、事実上ほぼ無料で宿泊できる、という最近はやりのパターン。その代理店で、どこでもドア押しもしていて、3日間JR西・九州・四国乗り放題のパスが、代理店を使えばGO TOでも利用できる、多少代理店手数料がかかっても元が取れますよ、みたいな売り。
 しかし、どう考えても3日間は短すぎる。そこで、初めての体験として、フルムーンパス1週間の利用を企画した。少々紅葉には早いが、ドンピシャの時期はめちゃ混みが予測されるので、11月上旬。乾燥・気温低下、気のゆるみが関連するかな、なんせ気にしない人はどこに行っても大声で飲み食いするからね、11月下旬から中国地方もちらほらコロナが出だしたから、いいタイミングだった。計画段階で面倒だったのは、フルムーンパスはのぞみとみずほに乗れないので、普通の乗換案内が役に立たないのだ。逐一時刻表をネットで見るのはなかなかの手間。それに、乗り放題チケットの元を取ろうと思えば、手っ取り早くは「遠くに行く作戦」が楽だが、行きたいところは決まっている。いつもみたいに、フライト&ドライブ、レイル&ドライブなら、ある程度宿泊地だけ決めて現地勝負ができるが、列車は特に四国が不便で、事前に計画を詰めるのが大切。元を取ろうとしてあれこれ悩んでブルーになるより、行きたいとこ優先で、案を巡らすのを楽しむことにした。意外だったのは、これだけ本四間に橋ができているのに、JRは岡山高松間しか通っていないのだ。岡山から高松(金毘羅さん)、鳴門、大阪、と進んで行ければ効率的なのだが、鳴門大阪間は自動車道しかないので、JRだとどうしても高松岡山を往復しなければならない。しかも、四国は新幹線がない、のろい。乗り鉄なら常識だろうが、そんなことも新鮮だ。
 苦労して四国に行くのだから、本四間は、車窓を楽しみたい。「瀬戸は、日暮れて、夕波小波い〜」なんと言っても多島海の美しさは夕景。マリンライナーという快速列車のグリーン席1番シートが、座ったまま前方を見渡せることが分かったので、そこに夕方乗り継ぐように企画。あれこれシートのリクエストなども決めて、SPCに依頼。高額な旅館はネット手配し、少々手数料を節約。
 そんなわけで、いつもの一つの地域を深堀する旅とは違う、「あちこち立ち寄る旅」計画が出来上がった。

〇1日目 外来終了後、京都に
 土曜日、外来終了後、駅に向かう。この日レセプト送信しなければならないのだが、点数改正の時期でもないのに、CPAPや特定薬剤管理料の入力の仕方が変わり、レセプト送信を受け付けない。「なんで事前に確認しなかったんだ」事務長、電子カルテ会社とすったもんだで、一部を省いてレセプト送信することで決着。ここで大興奮、いきなりぐったり。まあ、部外者にはなんのことやらわからないでしょうが、みなさんが窓口で支払った自己負担分以外は社会保険や国民保険に請求し、支払われる仕組みなわけですが、その事務手続きは年々複雑になり、事務コストは極めて高いものになっている、と理解してください。医療費削るために、面倒な作業は病院に丸投げ、しかも診察代やら検査費を値下げし、事務費は支払わない、なんて言語道断。
  それはさておき、この日は「ほぼ1年ぶりの京都、国内博物館」という企画。一番熱心だった年は毎月のように京都訪問していた。懐かしい。あの1年で、かなり理解度が深まりました。京都歳時記。
 京博「皇室の名宝」展。時間指定券で、4時入場。コロナ前から「展覧会は時間指定にすべき」が持論だったので、コロナで実現したのは複雑。目玉は若冲の動植綵絵が数点展示されること。東京都美術館の空前絶後・若冲展を手違いで見られなかったので、大変残念だった。数点でも嬉しい。旭日鳳凰図は別格迫力として、牡丹小禽図など。空いているので落ち着いて鑑賞できる。コロナ影響で週末延長がなく、6時閉館まで2時間勝負は厳しいが、なんとか肝は見られたかな。和様の書や、唐絵もいいものが出ている。三の丸尚蔵館は、普段積極的には貸し出しをしていないので、初見の作品も多い。久々の展覧会でどっと疲れる。
 宿泊は事務長がルクサで見かけた新しい宿ZiZi。最上階はテラスから知恩院が見える、というので試しに。この日は旅行中唯一の雨。同じ東山地区なので、晴れなら歩けないこともないが最寄りハイアットリージェンシーからタクシーで。「行き先がわからないなら、メーター入れてから行く先を調べるのはやめてほしい。」と運転手にクレーム。まあ、関西はタクシー代が安いので、なんとか売り上げ立てたいのはわかる。コロナ以前は、東大路は土曜日なんて渋滞で全く動かなかったが、今夜はスイスイ。週末は人がもどったというものの、まだ半分くらいだろう。
  宿のお姉さんが「近くに有名な中華食堂がある」というので行ってみた。土曜日で長列になっているからパス。向かいに空いているけどよさそうな食堂があったので、そこで夕食。ホルモン鍋がうまい。京都は半島や大陸系の人が多いので、このようなB級グルメが安くてうまいのだ。フレスコで朝食を仕入れて帰館。翌日のランチは、菊乃井が新しく出したカウンター形式の店に予約する。

〇2日目 東山観光後、山口に
翌朝は晴れ。この日から最終日まで天気に恵まれた。テラスのチェアを拭いて、のんびり朝食。この日はノープランなので、ランチまで知恩院に。知恩院は、近頃修復が続いていたが、すでに修復なって、普通にお庭を散策できるようになっていた。紅葉が色づきだしている。京都の町歩きも1年ぶりくらい。第二の故郷を行くような。
 菊乃井のカウンター形式のお店「露庵」まで散歩。もちろん菊乃井は素晴らしいから、期待していたのだ。しかし、のっけから店員がせかすような雰囲気。こりゃあ大衆食堂と変わらん。コース料理しかなく、食前酒付きなのだが、白い割烹着を着たお兄さんが「お飲み物は」とせかし、日本酒を頼んだら、食前酒より先に運んでくる。「食前酒付きのプランじゃないの?」と訊いても、「そんなことはありません」。その端からほかのお兄さんが「食前酒です」と。否定しておいて、これ気まずくないのか。謝罪もないのであほくさくなり、せっかくだがパスすることにした。親切に予約をとってくれたので、菊乃井本店にはちゃんと事の顛末を説明する謝罪の電話をしておいた。この程度のことでめげたり機嫌悪くなるなら、個人旅行はやめた方がいい。
 どうせ大衆路線なら、というわけで、昨日行列を避けたマルシン中華店に。昨夜と違い10人程度の列なので、すぐに入れた。回転が速いのは大衆店のいいところ。菊乃井でやったらだめだろう。ふんわり醤油ベースの天津飯がうまい。
 八坂神社に散歩がてら、亀屋清永で和菓子を左見右見(とみこうみ)。いろいろ少しずつ購入。ここは、知恩院発行の情報誌をパラパラめくっていたら、広告を出稿していたお店。ということは、知恩院にお品を納めているということ。お寺は口福が過ぎるくらいだから、間違いなくおいしいはず。清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)??(ぶと)といった奈良時代から伝わるお菓子やら、季節のお菓子、翔 ゴッホが描いた果樹園シリーズに着想を得、「あんず」と「いちじく」のドライフルーツを入れたひと口サイズの羊羹など。
 宿で荷物回収。タクシーでJR京都の高島屋に。今回はまったく非の打ち所ないドライバーさん。良い。地下で今度はお弁当を矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)。以前に比べると種類がへった。あてになりそうなお弁当、パンのセットを購入。火入れをしていない原酒を購入、プラスチックカップをつけるように頼んだが、新幹線に乗ってから見たら忘れられている。近頃のデパート、当てにならない。
 神戸駅で「さくら」に乗り換えるので、地下のセブンでプラカップ購入。小技だが、同じ乗り換えなら、新大阪ではなく新神戸で乗り換えた方が、プラットホームを変える必要がないから楽。弁当をあてに酒を聞し召す。幸せ。さくらのG席は、新幹線の中では一番しょぼいが、小うるさい乗務員もいなくて気持ちよく過ごせた。夜10時過ぎ、新山口駅前のコンフォートホテルに。寝るだけだから、と選んだが、まったくコンフォートではない。いくらなんでも狭すぎた。反省。

〇3日目 レンタカーで山口市内観光後、秋吉台のケイビング
 どうやら新山口というのは、山口ではなく、小郡市だ。紛らわしい。レンタカーを借りて、山口市観光の肝、瑠璃光寺五重塔に。車で30分。山口市は気前が良くて、この五重塔、山口県の文化全盛期・大内氏時代、室町の優品なのだが、駐車場代も拝観料もなく、まさしく「ただ」。お寺に付属しているものの、公園あつかいになっている。塔の前に池があり、日が差すと優美な塔とともに紅葉が映り込む。美しい。国宝五重塔は全国に九つあるのだが、これで鶴岡の羽黒山、福山市明王院を残すのみ。
 もうひとつの山口観光ハイライトは常栄寺雪舟庭。瑠璃光寺前に観光案内所があるので、そこの女性に聞いたが、大内文化を理解するためにはこの二つが最低限、というから下調べと同じだ。地図で行き方を教えてもらう。雪舟生誕600年記念事業がコロナでどういう影響を受けているのか知りたかったが、そこは関心がないみたいで、四季山水図の公開がどうなっているかもわからなかった。あとで調べたら、県立博物館の特別展は中止され、毛利博物館での公開は例年のごとくだった。毛利博物館は隣の防府市なので、今回はパス。国宝展ですでに鑑賞しているし、次の機会に回す。
 車で10分程度、雪舟庭園に。雪舟作庭は西日本にいくつかあるが、ここは代表作だろう。京都東福寺の塔頭芬陀院(雪舟寺)のお庭は、小規模だしピンと来なかった。明にわたる前の作品だし、まだ雪舟らしさが出ていなかったということかも。芬陀院もここも重森三玲の庭と共演している。日本庭園好きには聖地だろう。
 まずは三玲さんのお庭。雪舟の明往還を表した、というが、白砂の中、左寄りに配した孤立岩を中心に砂紋が同心円状に広がる。雪舟が乗った船なのだろうか?続いて雪舟庭に。ここは、1500坪と大規模。10月に修復が終わったばかり、まだ池の淵に土嚢が残っているのが残念。右奥の滝の石組みが、木立の陰で見えにくいのももう一つ残念な点。修復したとき、もう少し木立を処理しても良かったのでは?と思う。話はそれるが、全国的に展望台周囲の木が茂り全く景観が見えなくなっているところが多いので、検討課題だ。手前の枯山水とその奥の心字池を中心とした池泉回遊庭園のあわせわざ。似た形式としては天竜寺の曹源池庭園が思い浮かんだが、さすがに天竜寺の方がお庭は立派。大内<足利、作庭家としては雪舟<夢窓疎石ということかな。5年くらい前の口コミを見ると「泉水が枯れている、苔がはがれている」と散々なので、修復したあとでまだ良かったのかも。入場券売りの奥さんもとてもカジュアルだし、団体以外はあまりお客さんが来ないのだろう。奥さんは、石は秋吉台からではなく、もっと近くのものを使っていると教えてくれた。雪舟はやはり山水画命。とはいえ、近景の枯山水、中景の池泉、遠景借景の山、一周し角度を変えて鑑賞すると、奥行き立体感から、雪舟の山水画の中に入ったような錯覚が得られる。もともとあった小塔や、書院など再建すると、より雪舟らしさが出るはず。大内時代には「ここにくれば大陸文化が感じられる」場所だったのだから、今からでも再現して欲しいところ。雪舟が入明したのは、WOWOW放映の大明皇妃」の時代(明の皇帝がオイラト=モンゴルの一部族の捕虜になるという前代未聞の大混乱期を描いている)より後だから、すでに国力は低下傾向で、雪舟は彼の地に師を見出せなかったのだが、そんなことにはめげずに、大陸の雄大な自然を大量にスケッチ、自家薬籠中の物とし、日本の繊細な自然を融合して作り上げた独自の箱庭世界なのだ。
 1時半に、アドベンチャーツアーと秋吉台・別府弁天池で待ち合わせなので、1時間くらいのドライブで秋吉台に。今回は鍾乳洞を中心に観光予定。早めにつき、昨晩のパンを食べて、池を見学。エメラルドグリーンの名水百選。お約束のニジマスに加え、チョウザメも養殖している。
 ケイビングは、昨年の沖永良部があまりに衝撃的だったので、そこまで期待はできないが、ガイドさん次第、ということもある。沖永良部のガイドさんはあまりにプロ的でかえって冷たい感じがした。駐車場にやってきた女性がガイドしてくれるというが、かなり距離感が近い。奈良県出身。どうしてここを旅行先に選んだのか聞かれたので、「あちこち行っているけど、教科書に載っている秋吉台には来たことがないから」と答えたら、不思議そうにしていた。教科書に最近は載っていないのか、彼女が不勉強なのかは不明。洞窟の近くまで車で伴走。到着すると石を運ぶベルトコンベアが頭上をはるか彼方からどこどこ動いている。しかし、普通に小山がぼこぼこしている田舎の田園風景なので「あんまりカルスト感がしない」と言ったら、「木が生えていなければわかりますよ、秋吉台らしいところも自然に草原になったわけじゃなくて、春に野焼きをしてあの風景になっているんですよ」と。なるほど。
 代表の方が待っていて、マンツーマンでガイドしてくれるとのこと。こりゃあ心強い。もう一組お客さんがいると思ったら、地方局の取材で、女性リポーターが別のガイドさんともぐるようだ。ブリーフィングで、匍匐前進や水に潜ることはないとわかった。今日はそこまでの心構えがないので安心。3時間コースと、6時間コースがあるが、まずは3時間コース。ヘルメット、ライト、つなぎ、軍手と長靴に着替え、女性ガイド、事務長、自分、リーダーの順で洞窟に。リーダーは山形出身、シャイだが優しい方で良かった。夏に蔵王、山寺、天童を巡った話をしたら、おばが天童にいると言っていた。天童よしみは無関係でした。最初は広い空間だが、だんだんと狭くなる。そしてまた広い空間があったり。いちど湖底に沈んだ洞窟ということで、泥が付いているところが多く、あまりきれいな感じではない。鍾乳石も少ない。岩石の説明を受け、くぼみは何万年か前に流れていた水の跡だと教えてもらいながら先に進む。水が渦巻いていたところはラグビーボール状に削れている。途中、ぬるぬるのところを滑りながら登る。「それを楽しむところなのだ」と言われて初めて気が付く。子供は泥遊び感覚で大騒ぎするのかな。「ここが最後の坂です、ちょっと大変な登りだけどご褒美がありますよ」地底湖でもあるのかと思ったら違った。なにもない行き止まり。悪い冗談かと思ったが、まずは暗闇体験。明かりを消すと漆黒の闇。目が慣れるということもないので、全く何も見えないのだ。あとは明かりをつけ、おいてある岩石で、明かり体験。結晶が粗いので、岩が光を通すのだ。瑪瑙のようなものかな。正確な岩石名は忘れた。事務長はガレだ、と言っているがそんなに素敵じゃない。
 帰りは浅い地底湖を見学したが、テレビリポーターが通った後で、水が濁っている。そしたらリーダーが「最近行っていない地底湖を見に行こう」というので、大賛成。かなり狭いところを抜けていくと、地底湖が下に見える。雨が最近少なかったので透明度が高く、あちこちにつながる洞窟構造が、水の中でもくっきり。一見深くは見えないが、実際には10Mくらいあるようだ。調査隊が以前利用した脚立が残されているのはご愛敬。石を投げて波が立つと、明かりが洞窟の壁に反射し縞模様がとても幻想的。リーダーのおかげで結構遊べた。満足。
宿に向かう。予約した時には気が付かなかったが、秋吉台のある美祢市といっても入口の方で、もどるもどる。疲れる。こんなときは、どんな宿かとても心配になる。というのも、疲れているときにダメな宿だとダメージが大きいから。天宿の杜 桂月に到着。4年くらい前に経営が変わり、下関の懐石料理店が引き継いでからは、評判のいいところ。いきなりコロナに関する様々な説明を繰り返され(我々フレクエントトラベラーは耳たこでつらいのだ)、夕食の飲み物にgo toクーポンを使えないと意外なことを聞かされて“およよ”と思うが、部屋に上がると広くてとてもきれい。宿の平面図を見ると、母屋は6部屋しかないから密にはなりそうもないし、しかも自分たちの部屋は、ほかよりも2倍ある。寝室と居間で22畳、更に洗面が独立した部屋になっている。そんなゴージャスな部屋を頼んだ覚えはないが、それほど細かく見て申し込んだわけではないから、謎。例によって到着が一番遅かったから残りのいい部屋になったのかも。お風呂は温泉だし、久々サウナを独占。露天水風呂も気持ちいい。疲れが取れた。
 夕食の席は出口に近く、子供が騒いでいる個室の隣で、最悪の席だ。これが、広い部屋とのバーターかなと思う。しかし、他の席とのディスタンスは端っこだけに十分ある。事務長は不満そうだが、受け入れる。料理は質量ともに圧倒的。酒が進む。山口は近頃日本酒の宝庫。獺祭、東洋美人、雁木、五橋が有名どころ。5年くらい前、京都の割烹で山口出身の若女将に教えてもらった貴も最近では新宿伊勢丹の売り場に仲間入りだ。しかし、ここのラインナップは違う。選んでいるのは只者じゃない、と直感が働く。
 ご近所のおばちゃんと思しき給仕の女性が、八寸とほぼ同時に、お造り・イセエビ入りの豪華版をどわどわ、と運んで来るので、事務長がいったんストップ。若い料理長が頑張っていると言う。このあと牛鋤鍋も来る。一度に運ばれたら無理無理。あてに事欠かない状態なので、雁木ではじめ、山猿という知らない銘柄に。純米吟醸だが辛口。300m瓶を置いてあるので二人で飲みやすい。おしのぎの蕎麦もうまい。最後に龍の尾という銘柄を選んだら、女将さんがやってきて「ここは男自慢という小さな酒蔵なんですけど、自分は一番のお気に入りなんですよ」。理由を問うと「口に含んでみてください」。華やか、かつ芳醇。「女性好みですね」というと、「そうなんですよ、香りだけでなくてちゃんと深みもあって」と。この方の選択だったか。しかもうるさい席だったお詫びにこの龍の尾はプレゼントすると言う。山口は気前が良い。もともと値付けも決して高くはない。
 翌朝の食事も、ナスの煮びたし、上手に皮がむけていて、料理上手。自分にはしょっぱかったけど、事務長は大満足。呑べえだあ。

〇4日目 三洞巡りから倉敷
 ここからは端折り。まずは一番遠くの景清洞に。三洞共通券を買うと、あとは秋芳洞にはいるだけで元が取れる、と勧めあれ、共通券購入。景清は、1kmくらい進んだ先に、冒険コースという、まったく照明がない部分に入ることができるのが売り。昨日と同じ、懐中電灯を消せば全く光のない世界を体験できる。途中、いろんな化石が見つかるというのだが、自力では困難。大正洞は、まだ若い洞で、岩が主体。時間がないのでささ、と済ます。
 秋芳洞に行く途中、長者が森駐車場に車を止めて、セグウェイツアーの用意をしていた人に、カルスト台地を見渡す展望台の位置を聞いたら「ここはトレッキングルートのためのPで、歩いて30分くらいで通好みの展望台があるけど、一般的に観光バスなどがいく展望台は車で5分くらい進んだところにある」と教えてくれた。この時期、金色に輝くススキ野を歩くのもよさそうだが、今回はあちこち掛け巡る旅なのでトレッキングの余裕はない。車で行くと、たしかに立派な展望台が。登るとパンフレットで見るようなカルスト台地を展望できる。一面春に野焼きをしているので、牧草地のなかにぼこぼこと岩がそそり立つ。現在では放牧しているわけではないので、観光用に野焼きをしているということだろう。
 秋芳洞はそこからまた10分程度。あまりに観光化されていて、どんなものかと訝しんでいたが、やはり一番迫力がある。他とは比較になりませんね。百枚皿と黄金柱だけで圧倒されます。
 山口駅で車を返し、クーポンでお土産購入。大内人形というかわいいお雛様ペア人形購入。診察室に置いてあります。「さくら」で岡山まで行き、「八雲」で一駅、倉敷に。駅から美観地区の宿、吉井旅館までは徒歩15分程度。荷物をゴロゴロ。
 ここの宿は外れでした。着いたらいきなり「お風呂は予約制で7時まで空きがありません」ときた。だったら電話した時にあらかじめ希望時間など訊いてくれればいいのだ。この宿は今回の旅行では一番高額なのに、わけがわからん。まあ、go toが始まってから、普段より宿泊代を高く設定しもうけを狙っている宿があるのだが、ここはその中の一つ。いつもより3割ぐらい値上げしているので、go toを使っても別に安くはない。不正直な商売のやり方だと思うが、美観地区内の旅館は数少ないので殿様商売。食事もいまいち。部屋には、前日のお客さんのストッキングが残っていた。こんな衝撃は、フレクエントトラベラーの我々でも経験がない、まあ、びっくら。キャンセルがあったのか、例よって到着遅め組だからか、部屋はアップグレードされていたので、まあよしとする。

〇5日目 倉敷観光から、「マリンライナー」で瀬戸内海を渡り、鳴門に
翌朝、朝イチで、まだ観光客がいない美観地区の散策をして、気分を直しました。蔵や石造建築。川べりの柳。天気が良く、川のきらめきが橋や岸辺の石垣に映り、波紋がきらめく。朝食を済ませ、大原美術館に一番乗り。一部閉鎖されていたが、人が少なく、堪能できました。グレコの受胎告知、以前見た時よりもいい感じ。やはり、落ち着いた環境で観るのがふさわしい絵なのでしょう。
アイビースクエアで安くておいしい!ランチを遅めに済ませ、旅館裏にある神社に上り、美観地区を上から見たら、マリンライナーに乗るために再び岡山へ八雲で。マリンライナーは、快速電車だがグリーン車があり、一番前の席は全面車窓で、運転手の視線で景色を見られる人気の列車だ。本来は、倉敷からタクシーで15分くらいのところに駅があるので、タクシーを使えば楽だったが、せっかくのフルムーンパスなので目いっぱいJR利用し、岡山から折り返したおかげで瀬戸内海にかかるころには夕焼けにちと遅くなってしまった。これは後日意外な成り行きでリベンジできることになる。岡山からは線路やすれ違い列車、信号や踏切などいろいろ暗めだからこそ印象的な風景が見られたから、それはそれで楽しかった。
 高松からは、「うずしお」というのろのろ特急に乗り換え、岡山駅にて購入した日本酒とチーズでのびのび。さらに在来線に乗り換え鳴門駅に。タクシーで「アオアヲresort」に。お疲れ!ひさびさのフレンチ。リゾートホテルにしてはうまい。温泉はインチキ。しかし朝日と瀬戸内海が楽しめるお部屋でした。

ここからは端折って。
〇6日目 大塚国際美術館、うずしお観察。その後高松に移動

〇7日目 高松市内観光から金比羅山、帰宅
上原屋で讃岐うどん朝ごはん(ランチタイムは激込みするから慣れない人はおろおろしがち。なんせ自分で麺を温めるスタイル、狙っていた太刀魚のてんぷらはなかった、後で調べたらコロッケもサイドメニュとしてお勧めらしい)、栗林公園、ここで今回の旅唯一雨に降られる。冷えたせいか急に便意を催しあわてたが、園内に何か所かあるトイレで事なきを得る。園内地図を見ながら回っていてよかった。
琴平電鉄で金比羅山に。これも唯一JRではなく琴電利用。一度乗りたかったので。揺れと音がすごかった、琴電琴平駅から金比羅山までは徒歩15分程度。金比羅山は海関連からの信仰が篤く、たくさんお宝を所有していることが判明。宝物館では三十六歌仙額と十一面観音立像。表書院には円山応挙の襖絵。奥書院には若冲の怒涛の天井画襖絵があるらしいが、まったく公開する気はないそうだ。10年位前にパリはギメで公開した時の写真があり、土産物売り場のおばちゃんが見せてくれた。奥社まで登り1時間半がんばる。白内障手術を控えているので天狗のお守り購入。帰りはクラブツーリズムのガイドさんにショートカットを教えてもらい、JR琴平駅に。たまたま「南風」が4分遅れ、予定より一つ前のやつをキャッチ。駅員さんも「席指定なんていいから乗っちゃえ」と声には出さないものの態度で示してくれ、緩い。これでちょうど「瀬戸は、日暮れて、、、」の時間帯に瀬戸内を渡れました。今回一の絶景車窓。大満足。
 大阪から浜松までの「ひかり」は、なんと最新車両N700Sで、乗り心地よく疲れが取れました。

〇総括
 はじめてのパス利用列車旅。乗り鉄推奨のとにかく遠くに行くプランはあえて無視。行きたいところを回りましたが、毎日の移動でさすがに落ち着いた雰囲気にはなりません。半面、エブリデイ文化圏が変わり、その変化が面白かった。事前調査はあちこちする分大変。最初は手がつかずブルーになります。いつものように、フライト&ドライブ、レイル&ドライブのほうが気楽だし自由度も高いけど、たまにはいいかな。Go to が延長になればまたSPCに頼んで、JR四国の誕生月乗り放題パスを使った四国旅もいいかも。

〇その後
白内障の手術が無事終了後は、対馬、宮古、鹿児島と旅しましたが(主治医には内緒)、これもまた機会があれば報告。特に対馬は意外と良かったし、ぜひご報告したいところです。年末年始は家にいるのでもしかしたら書けるかも?

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